嬉しい偶然の連続、やはりこの仕事は面白い
建設専門学校を卒業後、約25年間、施工管理職として従事し、約20件の建物の新築・改修工事に携わってきました。なかでも一番印象に残っているのが、牧場ミルクプラントでの工事です。
私が小学校の頃、遠足で行ったことのある、とても身近な場所でした。工事を誰が担当するかは工事部全体で決めることであり、他の仕事との兼ね合い次第でしたので、私が担当できると聞いた時はとても嬉しかったですね。
驚いたのが、今回新築する建物の設計士の先生が、20年以上前の海外旅行で偶然知り合った方で、それ以来の再会を果たせたこと。さらに協力会社の職長さんの一人は、私がまだ駆け出しだった頃に仕事をご一緒した方で、こちらも20年振りの再会となりました。その工事はこのような奇跡のような縁が重なったこともあり、強く印象に残っています。建設業は人と人とのつながりが大事、とよく言われますが、それを改めて感じるとともに、やっぱりこの仕事は面白いな、と思った工事でした。
難しい制約がある中で、協力し、乗り越えていく
施工した牧場は、動物とふれあえる施設や、園内で飼育されている乳牛から生産された特別牛乳やソフトクリームなどを味わうことができます。ミルクプラントはそれらの製品を製造・加工する園内の中核施設で、私は着工から完成まで全ての工程に関わり、2年弱の歳月を経て無事にお客様に引き渡すことができました。しかしその間は乗り越えなければならない壁の連続でした。例えばこの牧場は、休園日以外に建設資材の搬出入ができず、工事計画の策定にとても苦労しました。また工事中も隣接地で乳牛の飼育や搾乳、製品の製造などが続いており、工事音などで乳牛にストレスがかからないか、粉塵やほこりが混入しないかといった、他の工事では経験できないような気配りが求められました。未知の作業も多い中、お客様、協力会社様と密接に連携を図りながら、慎重に工事を進めていったのを今でもよく覚えています。
建築は自然との対話でもあり、不測の事態も多く、例えば目に見えない地中に埋まっている配管の状態が想定外に変化しているケースなど、状況に応じた臨機応変な対応が求められます。入社当初はなかなか対応できず苦慮しましたが、様々なトラブルを乗り越えた今、それらの経験が私にとって大きな財産になっています。
建物が無事完成、この醍醐味は他では味わえない
工事の過程では、規模にもよりますが、常駐する日新工営の施工管理職数名に対し、多数の協力会社の職人さんに円滑に作業してもらう必要があります。本工事でもおおよそ30~40名、多い時では100名程度になることもありました。人員調整、工程管理は難しいですが施工管理職の力の見せ所でもあります。こうした様々な状況に一つひとつ対処しながら、計画通りに工事が進み、徐々に建物が形になり、遊びに来たこどもから「何ができるの?」と聞かれたときはとても嬉しかったです。そして外壁作業を終えて足場を外し、建物を皆さんにお披露目するときは、何度経験しても飽きることのない、他では味わえない醍醐味を感じることができます。
日新工営は工場や倉庫などを主に建設しており、それらを人がいかに使いやすいものにするか、喜んでもらえるか、という視点がとても大切です。私は今回ご紹介したプロジェクトのような、人が遊び、暮らし、共に人生を歩んでいけるような建物をこれからも手掛けていきたいです。